「生活保護受給者の遺品整理は誰がするの?」「誰が遺品整理の費用を負担するの?」と心配される方も少なくないはずです。
この記事では、状況別での遺品整理に対しての対応方法から遺品整理業者に依頼する方法と費用相場まで解説していきます。
生活保護受給者の遺品整理で悩まれている方は参考にしていただけたらと思います。
目次
遺品整理の責任があるのは、原則として法定相続人(親族)です。
しかし、生活保護受給者の場合は、身寄りがいないことも多く、状況によって遺品整理をする人が変わります。
下記にケース別での遺品整理の対象者をまとめました。
ケース | 遺品整理の対象者 |
相続人(親族)がいる | 子・親・兄弟姉妹など |
相続人が相続放棄をした | 相続財産管理人 |
相続人がいない・不明 | 市区町村が対応する可能性あり |
賃貸住宅に住んでいた | 大家が撤去手配することも |
基本的に遺品整理の第一義的な責任者にあたります。
亡くなった人の財産は相続人に承継されるため、相続人が遺品整理を行います。
相続放棄した場合は、プラスの財産もマイナスの財産も放棄することになります。
その場合、法的に遺品整理の義務はなくなりますが、公共の福祉の観点から行政が介入することがあります。
賃貸住宅に住んでいた場合、遺品は借主の所有物とみなされることがあります。
大家は勝手に処分できず、相続人や行政の対応を待つ必要があります。
相続人がいない場合、家庭裁判所に「相続財産管理人」の選任を申し立て、法的な手続きを経て撤去することが一般的です。
それでも対応できない場合は、行政と相談しながら撤去することになります。
相続人がいない、または相続放棄された場合、最終的に行政が対応することもあります。
生活保護法では遺品整理の義務は明確に定められていないため、行政の対応は時と場合によります。
行政は、遺骨の引き取りや最低限の遺品整理を行うことがありますが、遺品すべてを処分する責任は負いません。
遺品が多い場合は、相続財産管理人が法律に則った処理を行うことが一般的です。
基本的に相続人が遺品整理費用を負担します。
遺品は相続人に引き継がれるため、その整理費用も相続人が負担するのが原則となります。
ただし、相続放棄をした場合は負担義務はなくなります。
相続放棄をすると、財産を引き継がないため、遺品整理の費用を負担する必要はありません。
しかし、遺品に手をつけると相続の意思があるとみなされる可能性があります。
相続財産管理人が対応することが一般的です。
相続財産管理人が故人の財産を整理して清算します。
故人の財産の中から遺品整理費用が支払われますが、財産がない場合は別の対応が必要になります。
故人が生活保護受給者であっても、預貯金が残っている場合は、そのお金で遺品整理費用を支払うことができます。
もし賃貸物件に住んでいた場合、敷金が残っていると、それを遺品整理費用に充てることもあります。
相続人が相続を受け入れた場合、遺品整理費用を負担する必要があります。
ただし、相続放棄した場合は費用を負担する義務はなくなります。
賃貸物件に住んでいた場合、遺品は基本的に借主の所有物なので、大家は勝手に処分できないことが原則です。
相続人がいない場合の対応としては、相続財産管理人に法的手続きを経て撤去してもらうことです。
ただし、時間と費用がかかるので、最終的に大家が費用を負担して撤去するケースも少なくありません。
相続人がいない場合、行政が最低限の整理を行うこともありますが、全額負担することは少ないです。
役所が処分を手配する場合、処分費用は税金でまかなわれることがありますが、対応は自治体ごとに異なります。
ごみ処理の問題を例に挙げると、遺品が一般ごみとして扱われる場合、行政が回収してくれることもありますが、大量の遺品がある場合は対応が難しいです。
市区町村によっては「特別清掃支援制度」を導入していることがあるので事前に確認いてみましょう。
借主が亡くなった場合、その契約上の家賃支払い・原状回復などの義務は相続人に引き継がれることが多いです。
相続人が相続放棄した場合は、大家が自己負担で対応する可能性が高くなります。
相続人がいない、または全員が相続放棄した場合の対応としては、故人の財産は相続財産管理人が処理することになります。
ただし、相続財産管理人が選任されるまでには時間がかかるため、部屋が長期間空室になるリスクがあります。
相続財産がない場合、大家が負担せざるを得ない場合もあります。
注意点としては、生活保護受給者は家賃が生活保護費から支給されるため、敷金や預貯金がほとんど残っていないことが多いです。そのため、原状回復費用を請求しても回収できないことがほとんどです。
相続人がいる場合、故人の債務も相続されるため、相続人に請求できる場合があります。
ただし、相続人が相続放棄すると、家賃滞納分の回収は難しくなります。
なぜなら、相続放棄をすると、故人の財産も債務も引き継がないため、相続人に請求できなくなるからです。
家主が取れる対策としては、敷金から滞納分を差し引くなどが挙げられます。
また、生活保護費の未支給分がある場合、自治体に問い合わせて回収できるか確認してください。
遺品整理は、基本的に相続人の責任なので、大家が直接負担する義務はないのです。
ただし、相続人がいない、または相続放棄された場合、遺品の処分は大家の負担となるケースがあります。
相続人がいない場合の対応は、相続財産管理人により故人の財産の中から遺品整理費用を出すことができます。
また、福祉課に相談すると、自治体によっては最低限の対応をしてくれることもあります。
どうしても遺品整理が進まない場合、大家が自己負担で業者に依頼して処分するしかないのが現状です。
ただし、これは最終手段で、事前に法的手続きを確認することは怠らないようにしてください。
相続人全員が相続放棄すると、故人の財産は「相続財産」として管理されます。
相続財産管理人が遺品を整理し、必要なら売却・処分するなどの対応をしてくれます。
役所に相談することによって、相続財産管理人の選任申し立て、最低限の遺品整理、ごみ処分の手配などに対応してくれることがあります。
ただし、自治体によっては対応していない場合があるので、事前確認が必要になります。
行旅死亡人とは、身元不明のまま死亡した人や、身元が判明しても引き取り手のいない人を指します。
遺族がいない、または引き取りを拒否した場合、自治体が「行旅死亡人」として扱うことがあります。
「行旅死亡人」と認定された後に、自治体が火葬・埋葬を行う場合があります。その際にかかる費用は自治体が公費で負担することが多いです。
また、財産がある場合は、自治体が管理し、最終的に国庫に帰属します。
家具や衣類など不要な遺品は自治体が処分します。
ただし、すべての処理を自治体が行うわけではなく、最低限の整理のみに止まることが一般的です。
福祉課に相談することで、葬祭扶助を受けられることがあります。
ここでは最低限の火葬・埋葬費を支給してもらえる場合がほとんどです。
遺体の引き取りに関しては、遺族がいない場合、行政が火葬を手配します。
ただし、福祉事務所は遺品整理と財産管理に対応できない点が注意するべき部分だといえます。
親族がいない、または相続放棄の場合、福祉事務所に相談することもできます。
役所が状況を確認し、必要に応じて火葬・埋葬の手配をし、「葬祭扶助」により、火葬・埋葬が行われます。
ここでは、最低限の葬儀として火葬のみが行われることが多いです。
生活保護受給者であれば、費用は自治体が負担するケースがあります。
注意点としては、福祉事務所は遺品整理に対応できないため、大家や自治体が対応を検討する必要があります。
親族が対応拒否すなわち相続放棄した場合は、家庭裁判所が相続放棄を受理します。
行旅死亡人としての処理が行われ、自治体が火葬・埋葬を手配する場合があります。
価値のある財産は国庫へ、不用品は自治体が最低限の処理を施してくれます。
賃貸物件の場合は、家主が撤去手続きを進めることも少なくはありません。
遺品整理に特化したプロの業者で、整理・処分・供養などトータルで対応
・対応内容: 遺品の仕分け、処分、買取、供養、清掃
・メリット: 迅速な対応・専門知識が豊富
・デメリット: 費用が高め
家財道具の処分をメインに行う業者
・対応内容: 大型家具、家電の回収、処分
・メリット: 比較的に低価格で対応が可能
・デメリット: 供養や形見分けには対応しないところが多い
遺品整理後の清掃が必要な場合に依頼
・対応内容: 部屋の清掃、消臭、消毒
・メリット: 部屋を原状回復できる
・デメリット: 遺品整理自体は行わない
一部の自治体やNPO法人が支援を行っていることも
・対応内容: 低価格または無料での遺品整理
・メリット: 費用を抑えられる可能性がある
・デメリット: 全ての地域で対応しているわけではない
「遺品整理士認定協会」の認定を受けた業者を選ぶと安心です。
また、買取サービスがある業者を選ぶと費用を抑えられることがあります。
遺品整理の費用は、部屋の広さ・遺品の量・立地・作業内容によって変わります。
目安の間取り別の料金相場を紹介します。
・1R・1K:30,000円~80,000円
・1DK・1LDK:50,000円~120,000円
・2DK・2LDK:80,000円~200,000円
・3DK・3LDK:150,000円~300,000円
・4LDK以上:200,000円~500,000円以上
供養、特殊清掃、消臭・消毒作業などについては追加費用がかかることがあるので、事前に依頼先の業者に確認しておくと良いでしょう。
市区町村の福祉課に相談すると、一部の費用を補助してくれる場合があります。
自治体が行旅死亡人として認定すれば、最低限の処理を無料で行ってくれる可能性もあるので、お住まいの市区町村の窓口に相談してみてください。
買取サービスを行っている業者を利用すると、整理費用を相殺できることがあります。
例えば、骨董品、ブランド品、貴金属、家電などは値段がつくことが多いです。
一部のNPO法人や福祉団体が遺品整理を支援していることがあります。
無料回収サービスを行っている団体もあるので、地域の自治体に確認してみましょう。
遺品整理専門業者ではなく、不用品回収業者を使うと料金を安く抑えることができます。
ただし、供養や形見分けは対応していないことが多いので用途に合わせて使い分けると良いかもしれません。
可燃ごみ・資源ごみとして出せるものを自分で処分することで費用が削減できます。
また、市区町村の粗大ごみ回収サービスの活用を検討することも一つの手です。
完全に無料で遺品整理をしてもらうのは難しいですが、条件によっては行政や団体が費用を抑えて対応してくれることもあります。
行旅死亡人として扱われた場合は、 自治体が火葬・埋葬は無料で対応してくれることがあります。ただし、遺品整理は対象外になることが多いです。
生活保護受給者で葬祭扶助が適用される場合は、福祉事務所が主に対応にあたり、火葬費用は無料で行っているところもあります。自治体と同じく遺品整理は対象外になることが一般的です。
福祉団体・NPOが支援する場合は、無料回収・低価格での整理が可能になる場合があります。
また、不用品回収業者の無料サービスを利用することで、買取可能な物があれば無料になることもあるので検討してみてください。
これまで、遺品整理は誰が対応すべきかを状況に応じて述べていきました。
一番大事なことは、最初にすべきことの優先順位を決めるということです。遺品整理の状況によって、まず最初にやるべきことが変わるからです。
その上で、故人に相続人がいるかを確認してください。相続人がいる場合といない場合ではやることが変わり、相談窓口も変わってくるでしょう。
遺品整理は難しいことなので、自分だけではどうしようもならないことがあると思います。
そんなときにはプロに積極的にプロに力を借りることを忘れないで無理なく遺品整理を進めていきましょう。
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